九月も中旬になると、各地で秋祭りが催される。
近所の商店街にもピンクと白の提灯がきれいに並んでいる。
バンドのスタジオが終わって、電車を乗り継ぎ、ビール片手に家路に着く。家は商店街の外れにあるので、いつもならポツポツと街灯がともっているだけだが、この何日かは提灯の優しい明かりが僕を迎えてくれる。何というか、とても、ほっこりする。
小学生の頃、実家の近所の護念寺でも年に一度のお祭りが開催された。宿題をやらなければお祭りには行かせてもらえないので、この時期だけはきちんとドリルをやっていた覚えがある。その年も、お小遣い五百円を握りしめ、同級生と待ち合わせをして護念寺へ、目的はもちろんくじ引きだ。そこで僕は目を見張った。ぞ、ゾイドがある。先日友人の日高に自慢気に見せびらかされた、組み立て式の恐竜のおもちゃだ。欲しい。喉から手が出る程欲しい。僕は喉から出て来た手で、くじ屋のオヤジに百円を渡して勝負に出た。だが、そう簡単にアタリが出るはずもなく、癇癪玉やたこせんがたまる一方だった。もう後にも引けなくなり、結局、全額くじに投資し、手元に残った財産は低学年の奴らが喜ぶ、子供騙しのアイテムばかり。ふざけるな、僕は中学年だぞ。涙目になりながらも、まだ諦めきれずに、くじ屋の軒先でふて腐れていると、くじ屋のオヤジが声をかけて来た。「どうした?、僕。」
僕は答えた。「どうしてもゾイドが欲しい」と。