住めば都と云うけれど

4 月 23rd, 2009 § 0

人生の諸先輩方の話を聞くに、自分の住んでいるマンションは身分不相応なのではないか?このまま住んでいても、どうせ七月の頭には部屋の更新料が別にかかるので、いっその事引っ越してしまおうと思い立ち、幾つかの間取り図と睨めっこをしている。

今の所に引っ越してくる決め手となり、ずっとお気に入りだった天井の高いロフトも、今ではほとんど使っていない。昔燃やしたギターが飾ってあるだけだ。必要ない。今より築年数も多少あっていいではないか。その方がカリモクのソファーもしっくり来るはずだろう。

僕は不動産屋を訪れた。ここは二年前、今のマンションに越して来た際に、いろいろとお世話になったこともあり、馴染みがある。白髪混じりの髭を蓄えたオヤジに相談すると、二件の物件を紹介された。近くにあるというので、早速見に行くことに。歩いている内に、髭のオヤジは僕の事を思い出したらしく、急にご機嫌になった。髭のスペクタクルなトークに翻弄されつつ、最初の物件に。ところが部屋に上がるなり、肝心の髭が浮かない顔をしている。

「ここはうなぎの寝床だからな、あんまり薦められんよ」
「うなぎの寝床?」
「奥の間に行くのに部屋を一つまたがないといけないんだよ。圧迫感があって嫌いなんだよね。」
「はあ…」
「うなぎみたいにシュル〜と細長く部屋が続くだろ?だからそう呼ぶんだ。」
「へ〜」

この間取りの方が精力がつき、夜の夫婦生活が円満になるとか、そういう話ではなさそうである。何だか日当りの悪い畳の間を行ったり来たりしてると、髭の顔がうなぎに見えて来たので、部屋を後にした。

二つ目の物件は、二階が居住スペース、一階部分が駐車場という造りになっている。変則ではあるが、一応夢の一軒家である。先程とは打って変わり、髭の顔のツヤもいい。確かに嫌な圧迫感はなく、開放的な造りである。収納も多く、ベランダも広い。髭が持ち前の冗舌ぶりを発揮する。

「ここだといくら騒いでも誰も文句言わないし、ヘッチャラだよ。」
「こういう仕事をしてると、収納を見れば、その家が湿気っぽいかどうかすぐわかる。ここはね、ほらね、からっとしてるでしょ。」
「俺だったらこのベランダに人工芝引いて、コーヒー飲むな。」
「これで、今より家賃が3万円さがるんだぜ。」

成る程、この一連の流れ、髭にうまくやり込められた感じもあるが、ここがすばらしく思えて来た。それに、近頃は防音マットとやらも発達しているであろうから、こないだ購入した自慢のラディックドラムも小手先程度になら叩く事が可能だ。と、なると後は、家にいる大奥を説得できるかどうかである。

ギター

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