TSUMAMI

1 月 27th, 2009 § 0

「お前ら、アンプの一つや二つ持っとらんと話にならんぞ!ホンマに」

九州出身にも関わらず、うさん臭い大阪弁を話す男に催促され、おとぎ話四人で、楽器屋が並ぶお茶の水の街へと足を運んだ。防音ブースでたくさんのアンプを試奏する牛尾の表情は、本当に楽しそうだったのだが、ん?、その中に、世界限定500台のブライアンメイ(クイーンのギタリスト)モデルのアンプが混じっているではないか。先日、ネットでこのアンプを見かけ、牛尾と一緒に吟味した代物だ。

「牛尾これ!クリッククリック!」
「あっ?メイモデルだ。見た目は普通のVOXっすね。」
「これ買えばあの音出るんじゃねーか?」
「ん〜、でもこれつまみがボリュームしかないっすね。使い勝手ないっすよ。」

何て言ってた癖に、ちゃっかり試奏してやがる、全くかわいい後輩だ、なんて思いながら、僕もどんな音が出るのか気になるので、防音ブースの中に入った。成る程、確かにこれは使えない。いくらギター本体のボリューム、トーンを弄ろうがアンプからはあの音しか出てこないのだもの。なんて頑固なアンプだろう。

ところで、来る2月8日、おとぎ話は千葉LOOKでライブをする。
日本が世界に誇るロックバンド、ミッシェルガンエレファントの、全国ツアー初日はいつもその場所だった。多くのバンドマンに馴染みのある、老舗のライブハウスである。

おとぎ話も何度かギグを行った事はあるが、今回は訳が違う。共演者の中にミッシェルのメンバーがいるのである。レディオキャロラインのウエノコウジさんだ。

高校生の頃読んだ雑誌のインタビューで、ベースアンプのセッティングについて質問された彼は、「つまみ?よくわかんねえから、全部フル10だよ」という問題発言をしていた。当時僕と一緒にバンドをやっていた亀田が、それを真に受けて、轟音の中アンプの前に立ち尽くし、全てのつまみを右側に回しながら、首を傾げていたのを覚えている。

果たしてウエノさんのアンプからはどんな音が出るのか。是非今度の機会に確かめてこようと思う。

ぬいぐるみ

ぬいぐるみ

想い出のサンフランシスコ(後編)

1 月 6th, 2009 § 0

「あいつ、このスティックを見たら、きっと度肝抜かすだろうな。」

学年一つ下のドラマー、ヨシノスケの家の車庫が俺たちの練習場所だった。
灯油の匂い漂う納屋にドラムセットが組まれており、其処にフェルナンデスのミニアンプを三台持ち込んで俺たちは演奏していた。演奏というより、ただ田んぼ相手に喚き散らしていた、といったほうが正確かも知れない。言いたいことなんてなかった。
思春期の苛立に理由なんてない。

中学の時剣道部だった、初心者ドラマー、ヨシノスケは竹刀をスティックに握りかえて毎日のように練習、あっという間に上達した。その頑張る姿に心打たれた僕は、このスティックをヨシノスケにあげたのだった。これをお守りにしてドラム頑張れよ、と。だが後日、いつものように練習場所に行くと、ヨシノスケが何やら神妙な面持ちでこちらの方を伺っているではないか。どうしたというのだ。なんと、練習熱心なヨシノスケは自前のスティックを全部折れるほど使い込んだ挙げ句、しまいには新しいスティックを買う金がないからといって、キュウちゃんのスティックで練習してしまったというのだ。ただでさえボロボロだったスティックがどうなったかは言うまでもないだろう。けれども、誰も文句一つ言わなかった。だって奴の手のひらはマメと内出血で腫れ上がっていたんだから。宝物は無くなってしまったけど、俺たちは代わりに、かけがえのないものを手に入れたんだ。
どうだ、最高にHIPな思い出だろ?

俺たちは最高だった。ミッシェルのコピーも少しずつ形になっていき、レパートリーも増えてきた所で、俺たちはミッシェルの「ブギー」と、一分半のオリジナル曲、ハードコア田んぼブルース「闘牛」の二曲を引っさげてアマチュアバンドコンテストに出場。前越(g、vo)西川(g)亀田(b)ヨシノスケ(d)のカルテットだ。僕はスーツ姿のカートコバーン、亀田の胸にはどでかいモッズマークがそれぞれプリントされていた。プリントごっこで印刷した、自作のイモ臭いTシャツである。ギターの西川英ちゃんはミッシェルの曲をやるにも関わらず、なぜか足下で「グランジ」のエフェクターを踏んでいたし、まじめなヨシノスケは緊張から高熱を出していた。勿論全員カールコードだった。こんな無茶苦茶なバンドだったけど、審査員が田んぼのブルース「闘牛」に釘付けになったらしく、審査員特別賞により、なんと金沢で行われる,北信越大会にまで出場するまでに至った。そこでの結果は散々だったけど、とにかく俺たちは最高にHIPだったんだ。

現在英ちゃんは石川県で女房の尻に敷かれながらも、2児のお父さんになっている。亀田は鈴鹿でサーキットの音を聞きながらサラリーマンをやっている。名古屋、大阪でのライブを見に来るが、その時にたまに自分の着なくなった洋服を持ってきて、プレゼントしてくれるのが嬉しい。僕ほどではないが奴はオシャレだ。ここでこうやって言っておけば、これからは毎回の様に洋服を調達してくれるかも知れない。ただ、モッズマークのプリントTシャツだけは勘弁だけどね。ヨシノスケはどうしてるかなあ?僕がドラムやってるって知ったら、きっとあいつの事だから、また目の色変えて練習するんだろうな。

「ずれたままでいった 帰り道知らない」

そしたら僕もギター練習するから、またいつかこの四人で「ブギー」を演奏
出来たらいいな。

「フラフラ咲いて カラカラ鳴いた」

なんか灯油臭いね。

「続いていくんだろう」

ミッシェルガンエレファント、今でも大好きだ。

Dr.マーチン

Dr.マーチン

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